1.暮らしの中の薬草
薬草を利用するのは私たち人類だけでしょうか。体調不良の時に普段食べることのない植物を口にする行為が、タンザニアのチンパンジーにみられています。
しかし、常時薬草が手に入るとはかぎらないので、私たちの祖先は簡単な加工を施していつでも利用できるように生薬に加工して用いてきました。薬草や生薬などの天然の薬は、長い営みの中で生まれ育まれてきた文化遺産といえるでしょう。
民間薬や漢方薬などには、体に対して穏やかに作用するものが多く、高齢者や体の弱った時、また体質改善に優れた効果を発揮するといわれています。
ここでは薬草と生薬が、私たちの暮らしの中でどのように利用されてきたのか、考えていきたいと思います。
薬用植物園の生薬標本室にて